資格や免許を取得することで、運転できるトラックの種類や扱える荷物の幅が広がります。資格取得は、仕事の選択肢を広げるための第一歩です。キャリアアップを目指したい、他の種類の自動車も運転してみたいと思っているドライバーに、活躍の場を広げるために役立つ免許とはどのような種類があるのかご紹介していきます。
けん引免許
けん引免許は、トレーラーやセミトレーラーなど、けん引車(トラックなど)がトレーラーなどの被けん引車を引いて運転するために必要な免許です。自走しない状態の車両総重量が750kgを超える車(重被牽引車)を牽引する場合に必要です。一般的に、トレーラードライバーと呼ばれている仕事です。けん引免許には3種類あり、それぞれ運転できる車両が異なります。
免許の種類 | 概要 |
牽引免許(第一種免許) | 公道でけん引車を運転するのに必要 |
牽引二種免許 | 旅客運送目的で運送するのに必要。主にトレーラーバスの運転 |
牽引小型トレーラー限定免許 | 750㎏~2000㎏以下のトレーラー限定でけん引できる免許 |
取得方法は?
まず取得条件としては、満18歳以上で大型自動車免許、大型特殊自動車免許、中型自動車免許、普通自動車免許、これらのいずれかの免許を取得している必要があります。もっともニーズの高い「けん引免許(第一種免許)」は、最短12時間の技能教習を受けて卒業検定に合格すると取得できるので、受検難易度も高くなく、1週間教習所に通うことで取得できます。
高待遇の求人も多いので、ドライバーとして活躍の場を増やしたい方にまずはおすすめです。
運行管理者資格
運行管理者資格は、トラックやバス、タクシーなどの自動車運送業において、安全で効率的な運行を確保するために必要な資格です。運行管理者は、運転者の勤務時間の管理、運行計画の作成、運行前後の点呼、事故発生時の対応などの業務を行います。
取得方法は?
実務経験や講習を経験する
運行管理の実務経験が5年以上あり、さらにこの間に運行管理についての講習を5回以上受講(このうち、少なくとも1回は基礎講習を受講)していれば、定められた書類を提出するだけで運行管理者の資格を取得できます。ただし、資格がない状態で実務経験を積むのは容易ではないため、この条件で資格を取得するのは少数派です。
運行管理者試験に合格する
公益財団法人運行管理者試験センターが実施している試験に合格すれば、運行管理者の資格取得が可能です。ただし、受験資格があり、1年以上の実務経験があるか、基礎講習を修了している必要があります。
運転には直接必要のない資格ですが、営業所ごとに車両数に応じた人数の運行管理者を配置することが義務付けられているので、どこへ行っても重宝されやすい資格です。
フォークリフト運転技能者
フォークリフト運転技能者とは、最大積載荷重1トン以上のフォークリフトを運転するために取得する必要のある国家資格です。フォークリフトの免許は最大積載荷重が1トン以上か1トン未満かで変わってくるので要注意です。1トン未満であっても、運転するためには「フォークリフト特別教育を修了すること」が必要となります。
取得方法は?
フォークリフト運転技能は、労働安全衛生法に基づく運転技能講習を修了し試験に合格することが義務づけられています。この試験の合格率は95%程度と言われており、国家資格ではありますが取得難易度はそう高くないため、キャリアアップを目指すドライバーにはおすすめの取得です。
玉掛作業者
玉掛作業者とは、クレーンやホイストなどの揚重機械を使用して荷物を移動させる際に、荷物を吊り上げるためのワイヤーロープやチェーン、フックなどの吊り具を正しく取り付ける作業を行う技術者のことです。玉掛作業は荷物の安全な移動において非常に重要な役割を果たし、正確な技術と知識が求められます。
取得方法は?
玉掛け作業を行うための免許(以下、玉掛け免許)は、18歳以上であれば基本的に誰でも取得することが可能です。免許取得には、1トン未満のものなら特別教育、1トン以上のものなら技能講習を受けた上で、学科と実技の試験に合格することが求められます。
技能講習の場合、学科講習は9~12時間(所有免許によって違いあり)、実技講習は6~7時間となっており、一般的には、3日間の講習で取得することができます。
特別教育は、学科講習5時間、実技講習4時間で、通常2日間で行われることが多いです。
危険物取扱者
危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物を取り扱える国家資格です。消防法で定められた危険物とは、火災や爆発などの恐れがある物質のことで、危険性によって1~6類に分類されています。タンクローリードライバーは、ガソリンや灯油などの石油類や化学薬品などの危険物を運搬することがあります。このような危険物のタンクローリーを運搬するために、危険物取扱者は必要な資格となります。
危険物取扱者の資格には甲種、乙種、丙種の3種類があり権限がそれぞれ異なります。
資格の種別 | 取り扱える危険物 | 無資格者の立会い業務 |
甲種 | 全ての危険物 | 可能 |
乙種 | 第1類から第6類の中で取得した資格の危険物 | 取得した類の危険物であれば可能 |
丙種 | 第4類の中で取得した危険物 (ガソリン・軽油・灯油・重油等) | 不可 |
取得方法は?
危険物取扱者試験の合格後、免状交付申請を行い、受験地の都道府県知事から免状の交付を受けて実際の業務に就くことができます。受験資格に関しては、丙種と乙種は誰でも受験することができます。甲種危険物取扱者試験を受験する方は、一定の資格が必要で、以下のいずれかに該当する必要があります。
〔1〕大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者 |
〔2〕大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者 |
〔3〕乙種危険物取扱者免状を有する者 |
〔4〕修士・博士の学位を有する者 |
初めての危険物取扱者試験なら「乙4」から目指すのがいいでしょう。「乙4」とは、危険物取扱者乙種第4類のことです。乙4は仕事の需要が高く、取得後すぐに仕事に活かしやすい点で人気となっています。実際に受験者全体の約6割は乙4の受験者が占めています。
まとめ
トラックドライバーとしてのキャリアを向上させるためには、上記の資格を取得することが有効です。それぞれの資格には特定のメリットがあり、自分のキャリア目標や仕事内容、興味に合わせて選ぶことが重要です。資格を取得することで、新たな仕事の機会や高収入のポジションに就く可能性が広がるので、ぜひ取得して、キャリアの幅を広げていきましょう!
トラックドライバーに興味がある方も、このような資格を持ったうえでトラックドライバーを目指すことで、より自分の条件に合う運送会社と出会えるかもしれません。