近年、物流業界は様々な課題に直面しており、その中でも「2024年問題」と呼ばれるトラックドライバー不足が深刻化しています。この問題は、労働時間の規制強化やドライバーの高齢化に伴い、物流の停滞やコストの増加を引き起こすとされています。そこで、解決策の一つとして注目されているのが「中継輸送」です。この記事では、中継輸送がどのようにして2024年問題を打開する可能性があるのか、その概要と期待される効果について解説します。
2024年問題とは？
2024年問題とは、日本の物流業界が直面する大きな課題で、特にトラックドライバーの労働時間の制限に関連しています。2024年から施行される働き方改革関連法により、トラックドライバーの年間労働時間が制限されることになります。この法改正により、長時間労働が常態化しているトラック業界では、物流の維持が困難になることが懸念されています。特に、長距離輸送においては、ドライバーの確保が難しくなるため、物流全体に大きな影響を与える可能性があります。
また、2024年問題を解決するために、
・ドライバーを確保
・勤怠管理を強化する
・ITシステムを活用する
・輸配送携帯の切り替えを検討する
・荷主と協力し、荷待ち時間を減らす努力をする
など様々な対策があげられてきました。
今回は、その中でも期待が高まる中継輸送についてご紹介いたします。
中継輸送とは？
中継輸送とは、長距離輸送を複数のドライバーで分担し、効率的に荷物を運ぶ輸送方法です。従来の輸送方法では、一人のドライバーが出発地から目的地まで全てを担当していましたが、中継輸送では途中でドライバーを交代し、輸送をリレー形式で行います。これにより、各ドライバーの労働時間を短縮し、疲労を軽減することができます。また、ドライバーが地元での仕事に専念できるため、長距離運転によるストレスや健康リスクも低減されます。
中継輸送には
①ドライバー交代方式
②貨物積み替え方式
③トレーラー・トラクター方式（外周り型）
④トレーラー・トラクター方式（内回り型）の4パターンがあります。
①ドライバー交代方式は、中継地点でドライバーが車両を乗り替える方式
貨物が積み込まれた荷台を交換しないため、トレーラーだけでなくトラックでの実施が可能で、中継地点での交換作業も短時間に抑えることが可能。
②貨物積み替え方式は、中継地点で貨物を積み替える方式
積替作業が発生するため、最も作業時間が長い方式。
③トレーラー・トラクター方式（外周り型）は、中継地点で待ち合わせてシャーシ（荷台部分）を交換する方式
貨物が積み込まれたシャーシと切り離すため、牽引免許をもつドライバー同士の交換が必要。貨物の積み替えは発生しないため、短時間で交換作業が可能。
④トレーラー・トラクター方式（内回り型）は、車庫＝中継地点としてシャーシ（荷台部分）を車庫で交換する方式
中継輸送のメリット
労働時間の削減と働き方の改善
中継輸送により、ドライバーの労働時間を短縮できるため、労働環境の改善が期待されます。これにより、過労や事故のリスクを軽減し、ドライバーの健康と安全を守ることができます。
ドライバー不足の解消
長距離輸送におけるドライバー不足は、業界全体の大きな課題ですが、中継輸送を導入することで、ドライバーが長距離を運転する必要がなくなり、地方のドライバーも参加しやすくなります。これにより、全体のドライバーの確保がしやすくなり、業界全体の人手不足解消に寄与します。
効率的な輸送
中継輸送では、輸送ルートやスケジュールを最適化することで、輸送の効率を向上させることができます。例えば、ドライバーの交代を行う中継拠点を戦略的に配置することで、無駄のない輸送が可能になります。これにより、時間の短縮やコスト削減も期待できます。
中継輸送の課題と今後の展望
中継輸送には多くのメリットがありますが、導入に際してはいくつかの課題も存在します。まず、輸送の効率化には、適切な中継拠点の設置やシステムの整備が必要です。また、ドライバー間のスムーズな交代を実現するためのスケジュール管理や、輸送ルートの最適化も重要です。さらに、ドライバー同士のコミュニケーションや引き継ぎの質を高めるための教育や訓練も求められます。
しかし、これらの課題をクリアできれば、中継輸送は物流業界に革命をもたらす可能性があります。特に、2024年問題が迫る中で、中継輸送は労働環境の改善と物流の効率化を同時に実現できる有力な手段として期待されています。
まとめ
中継輸送は、2024年問題を打開するための重要なソリューションとなり得ます。労働時間の短縮や効率的な輸送を実現することで、ドライバーの負担を軽減し、業界全体の人手不足を解消する可能性を秘めています。物流業界が抱える課題に対して、柔軟かつ効果的な対応策として、中継輸送の導入が今後ますます進んでいくことが期待されます。
