TOP> 基礎知識 コラム一覧> 台風シーズン到来!物流・運送の“備えと対応”チェックリスト

最新の台風情報と注意点

2025年8月末現在、台風13号(カジキ)は南シナ海を西進しており、日本への直接的な影響はありません。
しかし、フィリピン付近やグアム近海では複数の「台風のたまご(発生兆候)」が確認されており、9月にかけても台風シーズンは続く見込みです。

物流業界にとって台風は、通行止め・配送遅延・荷主対応・ドライバー安全など、多方面に影響を与える存在です。ここでは、現場で実際に役立つ「備えと対応のチェックリスト」を整理しました。

1. 出発前の備え

情報収集とリスク把握をしましょう。

チェックポイント

  1. ✅最新の台風進路 / 警報を気象庁やアプリで確認したか
  2. ✅高速道路・一般道の通行止め情報を調べたか
  3. ✅代替ルートや休憩場所を事前に想定しているか
  4. ✅荷台の積み荷が雨風で崩れないよう固定・防水対策を行ったか

ポイント解説

台風時は、発生から接近までの時間が短いケースもあります。事前の情報収集は「運行管理の基本動作」と考えましょう。特に九州・四国・西日本は影響が出やすく、通行止めによる足止めリスクを常に想定しておくことが大切です。

また、輸送品が精密機器や食品の場合は、雨対策の甘さがクレームにつながることもあります。ブルーシートや防水カバーを余分に積んでおくなど、小さな備えが安心につながります。

気象庁 台風情報:https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#contents=typhoon

NEXCO 道路交通情報:https://www.jartic.or.jp/

2. 運行中の対応

安全を最優先に行動してください。

チェックポイント

  1. ✅強風・豪雨エリアではスピードを控えたか
  2. ✅橋梁や山間部を走行する際、横風による車両の揺れに注意したか
  3. ✅視界が悪いときは無理に進まず、安全な待避場所を確保できたか
  4. ✅燃料や食料・飲料水を十分に確保しているか

ポイント解説

大型車は横風の影響を強く受けます。橋や高架を通過する際は特に注意が必要です。また、休憩施設やコンビニが停電で使えない場合もあるため、ドライバー自身の生活物資を持参することがリスク軽減につながります。

実際、台風時には「コンビニの棚が空になる」「サービスエリアが閉鎖される」といったケースが報告されています。燃料も早めに補給し、半分以下になる前に満タンにしておくことが推奨されます。

国土交通省 自然災害時の道路安全情報:https://www.mlit.go.jp/road/

3. 荷主への対応

顧客との信頼を守るためにも。

チェックポイント

  1. ✅台風接近が予想される時点で、納品遅延の可能性を事前に伝えたか
  2. ✅代替日程や振替輸送の可能性を共有したか
  3. ✅災害時マニュアルに沿った報告フローを確認したか

ポイント解説

配送遅延そのものは不可抗力ですが、荷主とのコミュニケーション不足は信頼低下につながります。
「いつ・どの程度遅れるか」「再開の見込みはあるか」を丁寧に伝えることで、顧客の不安を和らげられます。

特に食品や医薬品など、賞味期限や消費期限に関わる荷物では、対応の遅れが信用問題に直結します。報告のタイミングを逃さず、可能であれば「次の便で補填する」などの代替案も提示できると安心感が高まります。

国土交通省 多様な災害に対応したBCP策定ガイドライン(PDF)
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001601839.pdf

4. 災害後の対応

運行再開後の点検や振り返りをしましょう。

チェックポイント

  1. ✅道路復旧やライフライン情報を確認したか
  2. ✅車両や積み荷に損傷がないか点検したか
  3. ✅今回の対応を社内で共有し、次回の台風に備える仕組みを作ったか

ポイント解説

一度の台風で終わりではなく、9月以降も複数の台風が接近する可能性があります。被害状況や運行上の問題点を整理し、「次に活かせる社内マニュアル」として蓄積していくことが大切です。

車両点検では、ブレーキやタイヤだけでなく、ワイパーやライト類の動作確認も忘れずに。冠水路を走った場合は、電装系トラブルのリスクが残るため、早めの整備点検が推奨されます。

また、被害報告や復旧状況を社内で共有する仕組みを整えておくと、他のドライバーが同じ失敗を繰り返さずに済みます。

国土交通省 物流施設の災害対応能力の強化(PDF)
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001732667.pdf

内閣府 防災情報のページ
https://www.bousai.go.jp/

備えが“安全と信頼”を守る

台風13号は日本への影響を避けましたが、フィリピンやグアム付近の発生兆候を見ると、今後も油断はできません。

運送業にとって、自然災害は避けられないリスクです。しかし、事前の情報収集・安全運行・荷主対応を徹底することで、被害を最小限に抑えられます。

台風は毎年やってきますが、「去年の経験を今年に活かす」ことが最も有効な対策です。

このチェックリストを活用し、日々の業務に取り入れていくことで、ドライバーの安全と会社の信頼を守りましょう。