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物流は古代から現代に至るまで、人々が物資を生産地から需要地へ効率的に運ぶためのシステムとして不可欠な役割を果たしてきました。この物流システムは、文明の発展とともに進化し、交通手段や技術の革新、経済の変化などによって形を変えてきました。

その中でも、トラック運送は、現代社会において欠かせない物流手段の一つとなっています。しかし、その歴史は比較的新しいものです。トラックが荷物を運ぶための主要な手段として普及する以前、馬車や鉄道が主流でした。20世紀初頭に自動車の普及が始まり、トラックは徐々に重要性を増してきました。その発展には、技術革新や経済の変化、社会のニーズに応える努力などが関わっています。

トラック運送の歴史

年代 出来事
19世紀初頭 蒸気機関車の出現:鉄道網の発展により長距離物流が可能に
19世紀末自動車の発明:カール・ベンツや語っとリープ・ダイムラーによる自動車の発明
20世紀初頭荷物輸送用トラックの登場:効率的な貨物輸送手段としてのトラックの利用を開始
20世紀初頭モータートラックの普及:自動車の普及とともにトラックの利用が急増
20世紀中盤トラック業界の規制:安全基準や運転時間の規制に導入され、業界の安全性と効率性が向上
20世紀後半コンテナ化の普及:貨物コンテナの普及により国際物流が効率化
21世紀技術革新と自動化:自動運転技術やテレメトリクスシステムの導入により効率性と安全性が向上

19世紀初頭、蒸気機関車がトラック運送の先駆けとして登場し、鉄道の発展に大きく貢献しました。これにより、長距離の物流に革新がもたらされました。

その後、19世紀末ではカール・ベンツやゴットリープ・ダイムラーなどによる自動車の発明がトラック運送の進化を促しました。最初の自動車は馬車を置き換える目的で作られましたが、すぐに貨物輸送にも利用されるようになりました。これらのトラックは、馬車と比較して効率的であり、より速く、より多くの荷物を運ぶことができました。

20世紀初頭では、自動車の普及と共に、モータートラックの使用も急速に増加しました。特に第一次世界大戦後の経済成長と道路インフラの整備により、トラック運送はさらに発展しました。

トラック運送業界は20世紀中盤に規制されるようになりました。トラックの安全性や運転時間の規制などが導入され、業界全体の安全性と効率性が向上しました。

20世紀後半には、貨物コンテナの普及がトラック運送に革命をもたらしました。コンテナ化により、貨物の取り扱いが効率化され、国際物流が大幅に改善されました。

日本に物流が誕生するまで

1950年代の日本は戦後復興期にあり、大量生産・大量消費の時代が始まりました。この時期の物流には以下のような特徴がありました。

大量生産・大量消費

経済成長に伴い、大量の製品を効率的に移動させる必要がありました。しかし、物流のインフラはまだ未整備で、特に都市部以外では舗装されていない道路が多く、物流の非効率性が問題となっていました。

アメリカの物流体制の導入

1950年代後半から、日本政府はアメリカの物流体制を取り入れ、物流拠点の整備を進めました。これにより、物流の効率が大幅に向上し、各地に物流拠点が誕生しました。

物流の概念の誕生

当初、物流は「Physical Distribution」と呼ばれていました。徐々にこの概念が日本に浸透し、「物的流通」と訳されるようになり、最終的には「物流」という言葉が定着しました。

日本の物流は、1950年代の戦後復興期から現代に至るまで、大きな変遷を遂げてきました。物流の効率化と技術革新は進んでいますが、現代の物流には依然として労働力不足など多くの課題が存在します。物流の歴史と現代の課題を理解することで、より効率的で持続可能な物流システムの構築が期待されます。

AIを活用した近年の運送業界

トラック運送業界では技術革新と自動化が進んでいます。自動運転技術や車両のテレメトリクス(遠隔測定)システムなどの導入により、効率性と安全性が向上しています。

本格的に物流改善に取り組み始めます。道路や港湾の整備を進め、物流拠点となる設備が各地に設置されました。オリンピックや万博の開催に伴う道路の開発もあり、日本の物流環境は急激に整備されていきます。

そして、その後もバブル崩壊まで産業の発展に伴い、物流量は右肩上がりを続けました。

新たな物流業界や懸念

2019年以降は、新型コロナウイルス感染症による外出自粛で小口配送がさらに増加し、コロナ禍においてオンライン注文配達や置き配サービスといった新たな物流形態が登場しました。

今後はドライバーの高齢化や、2024年に全面適用される働き方改革関連法の影響(物流の2024年問題)によって、ドライバーのさらなる人手不足が懸念されています。

2024年問題で傾き始めている物流業界を、どう対策していくのかトラックドライバーだけでなく、荷主との連携など、国全体で対策していくことが必要です。また、私たち消費者も自分の都合で何度も荷物の再配達をお願いしないようにするなど、再配達削減を心掛けましょう。

なお、物流の2024年問題については「物流業界をとりまく2024年問題」で詳しく解説しています。

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