この時期は1年で最も気を張る季節ですよね。路面凍結に吹雪、帰省ラッシュの渋滞。おまけに配送量も増えて、体も心も疲れがたまります。
正直なところ、どんなに気をつけていても完璧な運転なんてできません。でも、ちょっとした準備と心がけで、多くのトラブルは防げるんです。
今日は、長年この仕事を続けてきた先輩ドライバーたちの知恵をもとに、冬道を少しでも安全に走るコツをお伝えします。難しいことは何もありません。できることから、一緒に始めていきましょう。
なぜ年末年始は事故が多いのか
まずは、この時期に事故が増える理由を知っておきましょう。
原因がわかれば、対策も立てやすくなります。

①朝晩の気温差のせい
12月から1月は、昼と夜の温度差が激しい時期です。日中に溶けた雪が夜に凍って、朝方にはツルツルの氷になる。特に橋の上やトンネルの出入口は、地熱の影響を受けにくく凍結しやすく要注意!
見た目は濡れているだけなのに、実は薄い氷の膜が張っている。こういうブラックアイスバーンが一番怖いんですよね・・・。私も何度かヒヤッとした経験があります。
②道に不慣れな車が増える
帰省ラッシュで、普段運転しない方や土地勘のない方が増えます。急ブレーキや無理な車線変更、突然の減速。予測できない動きが本当に多くなるんです。
プロのドライバーなら当たり前のことが通じない場面も増えます。だからこそ、いつも以上に周りに気を配る必要があるんです。
③疲れが一番の敵
年末は配送量が増えて、連勤になることも多いですよね。疲れがたまると、どうしても集中力が落ちてしまいます。
特に危ないのが、「もうすぐ着く」という終盤です。ホッとして気が緩むあの瞬間、実は一番事故が起きやすいタイミングなんです。
出発前の準備が何より大切
「準備で9割決まる」と言われるのが冬道です。
時間がなくても、この確認だけは省かないでください。

タイヤとブレーキの徹底チェック
スタッドレスタイヤの溝、ちゃんと残っていますか?最低でも4mmは必要です。指で触って確認してみてください。「まだ大丈夫かな」と迷ったら、それは交換のサインです。
空気圧も重要なチェック項目です。寒いと自然に下がるので、規定値より少し高めにしておくと安心できます。
それと、ブレーキパッドとオイルの量もチェックを。冬道では急ブレーキを避けるべきですが、いざという時に効かないと本当に困ります。
バッテリーとウォッシャー液は余裕を持って
寒冷地ではバッテリーの性能が低下するので、少しでも不安があれば、早めに交換しておきましょう。
ウォッシャー液は凍結防止タイプを満タンに。雪道は泥はねが多くて、思った以上に消費します。予備を積んでおくと、さらに心強いですよ。
「もしも」のための冬装備
スコップ、牽引ロープ、解氷スプレー、防寒着、毛布。立ち往生した時、これがあるかないかで状況は大きく変わります。
三角停止板と発煙筒の場所も確認しておいてください。緊急時に慌てて探すことのないよう、取り出しやすい場所に配置してください。
運転中に心がけたい5つのこと
さあ、準備ができたら出発です。
冬道を走る時は、いつもと少し違う意識を持ちましょう。
車間距離は「これでもか」というくらい開ける
雪道では制動距離が通常の3〜4倍に延びます。
前の車が急ブレーキを踏んでも止まれるよう、たっぷり距離をとってください。
「空けすぎかな」と感じるくらいで、ちょうどいいんです。特にトラックは重いので、一度滑り始めると本当に怖いですから。
「急」がつく操作はゆっくりと
急ブレーキ、急ハンドル、急加速。
これらは冬道の大敵です。どんなに焦っていても、すべての動作を丁寧に、ゆっくりと。
ブレーキは何度かに分けて踏み、早めに減速を始めましょう。カーブの手前では十分に速度を落として、カーブ中はアクセルもブレーキも踏まない。基本中の基本ですね。
視線は遠くを見る癖をつける
目線を遠くに置くと、危険に早く気づけます。最低100m先を見るイメージで、路面の変化や渋滞の気配を察知しましょう。
また、サイドミラーもこまめに確認してください。後ろの車の動きがわかると、無理な追い越しにも対応しやすくなります。
危険な場所を覚えておく
橋の上、トンネルの出入口、日陰の道路。
これらは特に凍りやすい場所です。通る時は、さらに速度を落として慎重に。
路面が黒く光っていたら、それはブラックアイスバーンかもしれません。「凍ってるかも」と疑いながら走るくらいが、ちょうどいいんです。
疲れたら素直に休む
眠気や疲れを感じたら、すぐに休憩してください。「もう少しだから」という気持ち、わかります。でも、その「もう少し」が危ないんです。
2時間に1回、15分程度の休憩が理想的です。
コーヒーに頼りすぎず、少し目を閉じるか体を動かしてリフレッシュしましょう。
▼ コーヒー選びの参考にしてみてください^^
もしトラブルが起きたら
万が一のトラブルに備え、対処法を頭に入れておきましょう。冷静な判断が、被害を最小限に抑えます。
スリップしたら慌てない
滑り始めたら、まずアクセルを緩めてください。慌ててブレーキを踏むと、もっと滑ります。
ハンドルは車が行きたい方向に軽く切って、無理に戻そうとしない。タイヤがグリップを取り戻すのを、じっと待つしかありません。
雪に埋まったら落ち着いて

立ち往生したら、まず三角停止板と発煙筒で後続車に知らせます。
エンジンをかけておく時は、マフラー周りの雪を必ず取り除いてください。
排気ガスが車内に入ると、一酸化炭素中毒の危険があります。
救援が来るまで、無理に外に出ず、防寒着と毛布で暖をとりましょう。携帯電話の電池を温存するため、不要な通話は控えましょう。
無理のない計画を立てる
年末年始は、通常より30%以上時間がかかると想定してください。余裕のある計画が、安全運転の第一歩です。
早めに出て、代わりのルートも考える
荷主さんには事前に状況を説明し、時間に余裕を持たせてもらいましょう。無理なスケジュールは、焦りを生むだけです。
また、メインのルートが通れなくなった時のために、別のルートも頭に入れておくと安心です。カーナビだけじゃなく、紙の地図も見ておくといいですよ。
天気と道路の情報はこまめに確認
出発前だけじゃなく、休憩のたびに最新情報をチェックしましょう。天気の急変や通行止めを早く知れば、危ない場所を避けられます。
日本道路交通情報センター(JARTIC)のサイトやアプリは、リアルタイムで情報が得られるので便利です。
日本道路交通情報センター(JARTIC):https://www.jartic.or.jp/
最後に
完璧な運転なんて、誰にもできません。私たちはみんな人間ですから、疲れるし、焦ることもあります。
でも、車両点検を怠らず、できる範囲で準備をして、無理をせず、「危ないかも」という意識をもって走る。それだけで、事故のリスクはぐっと下がります。
今日お伝えしたこと、全部は無理でも、できそうなことから試してみてください。
家で待っている家族のため、一緒に働く仲間のため、そして何より、あなた自身のために。
この年末年始、どうか無事に乗り切ってください。陰ながら、応援しています。